Netflix「ピアノ・レッスン(2024)」ネタバレ感想 一台のピアノに縛られた姉弟!!

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Netflixオリジナル映画
家宝であるピアノを売るかどうかで、姉弟は対立するが…………

ひとつのピアノをめぐって家族が衝突するドラマ
演出、音楽、撮影、演技、全てのクォリティが高い

制作はデンゼル・ワシントン
主演は長男のジョン・デヴィッド・ワシントン
監督は次男のマルコム・ワシントンとワシントン家が集結した作品
原作はピュリッツァー賞を受賞したオーガスト・ウィルソンの戯曲
役者陣の演技がとにかく素晴らしい
音楽も見事だった
一族が受け継いできた一台のピアノをめぐるドラマが、非常に重厚に描かれる
また意外にもホラー要素もあり、視覚的にも楽しめた
マルコム・ワシントンは監督デビュー作とは思えない出来栄え
非常に見ごたえのある一作となっている

予告編

The Piano Lesson | Official Trailer | Netflix

作品情報
作品名「ピアノ・レッスン」(原題The Piano Lesson)
監督:マルコム・ワシントン
キャスト:ジョン・デヴィッド・ワシントン、サミュエル・L・ジャクソン、ダニエル・デッドワイラー、レイ・フィッシャー、コーリー・ホーキンズ、マイケル・ポッツ、エリカ・バドゥ、スカイラー・スミス
上映時間:127分
制作国:アメリカ(2024年)

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ざっくりあらすじ

ピッツバーグに住むバーニースのところへ、弟のボーイ・ウィリーが訪ねてきた。ウィリーは土地を手に入れるために、チャールズ家の家宝であるピアノを売りたいという。バーニースは断固として反対するが…………

感想(ここからネタバレ)

1993年の名作「ピアノ・レッスン」のリメイクではありません…………

「ピアノ・レッスン」

1936年、大恐慌の真っただ中にボーイ・ウィリーと友人のライモンは、ミシシッピ州からピッツバーグへやってきた
ピッツバーグでは姉のバーニースが叔父のドーカーと同居していた
いきなり訪れたウィリーに驚く2人
ウィリーの目的はピアノだった

そのピアノはチャールズ家が代々受け継いできたもので、先祖の顔が彫り込まれていた
ウィリーはピアノを売った資金で、自分の土地を手に入れるつもりだった
しかし、バーニースは断固反対した
このピアノには一族の歴史が刻まれているのだ
こうしてピアノを売るかどうかで、姉弟は対立するが…………

作品解説

マルコム・ワシントンはデンゼル・ワシントンの次男で、本作が監督デビュー作となる

ジョン・デヴィッド・ワシントン、サミュエル・L・ジャクソン、レイ・フィッシャー、マイケル・ポッツは、2022年のブロードウェイで上演された「ピアノ・レッスン」で同じ役を演じた

本作は2024年11月8日に、アメリカの一部の劇場で公開された

ボーイ・ウィリー

バーニースの弟
ミシシッピ州に住んでいる
頭に血が上りやすい性格
ピアノを売って、自分の土地を手に入れようとするが…………

演じるのはジョン・デヴィッド・ワシントン
「ブラック・クランズマン」「TENET テネット」「ザ・クリエイター/創造者」など、いくつもの話題作で主演を務めた
Netflix映画では「マルコム&マリー」「ベケット」に出演

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バーニース

ウィリーの姉
マリーサという娘がいる
夫のクローリーは3年前に亡くなった
断固としてピアノを手放すまいとするが…………

演じるのは「ティル」のダニエル・デッドワイラー

ドーカー

ウィリーとバーニースの叔父
2人の父親はドーカーの亡くなった兄
我が子のように2人のことを見守るが…………

演じるのはニック・フューリー役でもおなじみのサミュエル・L・ジャクソン
本作では実に渋い演技を見せている

オーガスト・ウィルソン

原作はオーガスト・ウィルソンのピュリッツァー賞を受賞した戯曲「ピアノ・レッスン」
オーガスト・ウィルソンはアメリカ黒人の演劇詩人と呼ばれ、アフリカ系アメリカ人の歴史や生き様を描いてきた
代表作の「フェンス」はデンゼル・ワシントンの製作・監督・主演で映画化された
Netflixでは「マ・レイニーのブラックボトム」が映画化されている
こちらも製作はデンゼル・ワシントン

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ピアノ

「ピアノ・レッスン」といえば多くの人は、1993年のジェーン・カンピオンの名作を思い出すだろう

しかし、あの作品の原題は実は「The Piano」
ある意味、本作が本物の「ピアノ・レッスン」と言える(?)

先祖から受け継いできた一台のピアノ
そのピアノの秘密が次第に明かされていく

奴隷制度の忌まわしさ
父親の死

あまりの壮絶さに言葉を失った
そのピアノには一族の血と涙がこびりついているのだ
ボーイ・ウィリーの言うように、売り払って嫌な過去を忘れてしまうべきか
バーニースの言うように、辛い記憶でも受け継いでいくべきなのか
誰もが考えてしまうだろう

家族

ボーイ・ウィリーを演じるジョン・デヴィッド・ワシントンが素晴らしい
ギラついていて野心家で姉に対して反抗的な弟
あまりにリアルな演技で、見ていてかなりイライラした(笑)

一方でバーニースを演じるダニエル・デッドワイラーの抑えた演技も見事
静かな中に彼女の抱えたどうしようもない怒りが伝わってくる
姉弟が衝突する場面はそれぞれが入魂の演技で、思わず見入ってしまった

脇を固めるサミュエル・L・ジャクソン、レイ・フィッシャー、マイケル・ポッツたちも抜群に上手い
時に疎ましく、衝突することもある家族
だが、どんな確執を抱えていても、根底にあるのはお互いへの愛
役者陣の演技によって、それが伝わってくる

ホラー

ピアノをめぐる姉弟の確執を描いたヒューマンドラマ
そんな印象で見ていた本作
しかし、最後はホラーになって驚いた

かつてチャールズ家の主人だったサターが、3週間前に井戸に落ちて死んだ
その死んだはずのサターが、バーニースの前に現れる
それは精神が不安定なバーニースの妄想かと思われた
だが、映画のクライマックスでは本当にサターの幽霊が現れ襲いかかって来る

それを救ってくれたのはピアノ
バーニースは母親が死んで以来、触れていなかったピアノに助けを求める
ピアノを弾き始めると先祖たちが現れ、サターの霊は去っていく
奇妙だが圧巻のクライマックスだった

一族の歴史の象徴であるピアノ
たとえ忌まわしい過去でも受け継いでいかなければならない
そうしなければ再びサターは戻って来るだろう
最後にバーニースは全てを受け入れ、娘のマリーサにピアノを教える
その表情は晴れ晴れとしていた
バーニースはようやく過去と向き合うことが出来たのだ

まとめ

マルコム・ワシントンの監督デビュー作はかなりの力作
特に演技と音楽は圧巻だった
また監督やキャストが和気あいあいと映画を振り返る「ピアノ・レッスン: その偉業と精神」も面白かった(デンゼル・ワシントンも出演)
映画が楽しめたなら、そちらも見てみるといいだろう

The Piano Lesson (2024) on IMDb

Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/the_piano_lesson
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/397605

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