Netflixのオリジナル映画
幼い娘を失ったリリーは、悲しみから立ち直れずにいた
そんなある日、攻撃的なムクドリが庭に巣を作って…………
夫婦の喪失と再生を描いたドラマ
地味だが心に染みいる作品
メリッサ・マッカーシーとクリス・オダウドが、悲しみに苦悩する夫婦を好演
また風変わりな医師を演じたケヴィン・クラインが素晴らしかった
地味で小ぢんまりした作品だ
盛り上がる山場もない
また動物との感動的なドラマを期待すると、困惑するだろう
見ていてかなり気が滅入る
だが、ラストは静かな感動があった
派手さはないが、心に染み入る一作だ
予告編
作品情報
作品名「ムクドリ」（原題The Starling）
監督：セオドア・メルフィ
キャスト：メリッサ・マッカーシー、クリス・オダウド、ケヴィン・クライン、ティモシー・オリファント、ダヴィード・ディグス、スカイラー・ギソンド
上映時間：103分
製作国：アメリカ（2021年）
ざっくりあらすじ
幼い娘を失ったリリーは悲しみから立ち直れずにいた。そんなある日、攻撃的なムクドリが庭に巣を作って…………
感想（ここからネタバレ）
感動的な動物ものかと思ったら、予想と違った…………
陰鬱な日々
幼い娘ケイティが死んだ
それ以来、リリーの心が晴れることはなかった
夫のジャックは悲しみに耐えきれず、心を病んで入院している
リリーは心労で、仕事にも身が入らなかった
そんなリリーを心配した医師は、ラリーという心療医を紹介してくれた
リリーがラリーの診療所を訪れると、患者は皆がペットを連れていた
ラリーは数年前に獣医に転職したというのだ
落胆したリリーに「動物のことなら相談に乗る」とラリーは告げた
このままでは駄目だ
リリーは庭仕事を再開しようとした
ケイティが死んで以来、庭はすっかり荒れ果てている
庭に出ると、見知らぬ鳥が襲ってきた
リリーは額に傷を負った
ラリーに聞くと、それはムクドリではないかとのことだった
ムクドリは縄張り意識の強い鳥だ
その日からリリーとムクドリの格闘の日々が始まった…………
作品解説
監督は「ヴィンセントが教えてくれたこと」「ドリーム」のセオドア・メルフィ
「ドリーム」
1960年代、宇宙飛行士たちを支えたNASAの3人の黒人系女性の知られざる活躍を描いた傑作
2005年、本作はもっとも人気のある未製作の脚本として「ブラックリスト」に掲載された
メリッサ・マッカーシー
スーパーの店員、リリーを演じる
1年前に幼い娘のケイティを亡くした
愛する夫は心を患い入院
それ以来、塞ぎこんだ日々を送っている
庭に住み着いたムクドリを、何とか追い出そうとするが…………
メリッサ・マッカーシーは「ゴーストバスターズ」などコメディ女優として人気だが、演技力にも定評がある
Netflix映画「サンダーフォース ～正義のスーパーヒロインズ～」にも出演
こちらはちょっと残念な出来
クリス・オダウド
リリーの夫ジャックを演じる
小学校の美術教師
娘のケイティを失い自分を責め、ついには自殺を図った
それ以来、入院している
いまだに立ち直れず、リリーとも距離を置こうとするが…………
クリス・オダウドは「疑惑のチャンピオン」「モリーズ・ゲーム」など、多くの作品に出演している
ケヴィン・クライン
獣医のラリーを演じる
かつては心療内科医だったが、患者を救うことに限界を感じて転職した
最初はリリーの相談に乗るのも、気が進まなかったが…………
ケヴィン・クラインは大好きな俳優
「ソフィーの選択」「シルバラード」「遠い夜明け」など多くの名作に出演
「イン＆アウト」や「ラスト・ベガス」も良かった
個人的に好きなのはこの作品
「デーヴ」
大統領に瓜二つのデーヴは一晩限りの約束で、大統領の影武者を引き受ける
ところがその夜に大統領が倒れてしまい…………
爽快なコメディ
正直で善良な主人公を自然に演じるケヴィン・クラインが凄い
大統領夫人役のシガーニー・ウィーヴァーも魅力的
必見の大傑作である
ムクドリ
鳥との触れ合いによって、傷ついた心が癒されていく
同じような題材では、この作品がある
「ペンギンが教えてくれたこと」
Netflixオリジナル映画
不慮の事故で明るさを失った母親は、怪我を負った一羽の鳥との出会いによって、希望を見いだしていき…………
ナオミ・ワッツが下半身不随になった母親を熱演
それを支える家族の姿も良かった
ペンギンという名のカササギを育てることによって、立ち直っていく主人公
前向きな気持ちになれる良作
てっきり、この「ムクドリ」も同じような感動作なのだと思った
ところが全く違った
とにかくムクドリが主人公に懐かない
むしろ攻撃してくる
リリーも何とかムクドリを追いだそうと必死
この展開には意表を突かれた
悲劇
我が子を失う悲しみ
これ以上ないほどの悲劇だろう
思い出すのはこの作品
「愛してるって言っておくね」
Netflixの短編アニメ
学校の銃乱射事件で我が子を失った夫婦の苦しみとささやかな希望が描かれる
たった12分の作品なのに、涙が止まらない
非常に胸を打つ作品
乳幼児突然死症候群によって、愛する娘ケイティを失ったリリーとジャック
こんな悲劇とどう向き合えばいいのか？
ジャックは堪え切れず自殺を図り、心療科へ入院
リリーも悲しみと疲れで、途方に暮れてしまう
理不尽な悲劇への怒り、苦悩、絶望
もう二度と前の自分には戻れない
見ていてかなり気が滅入った
夫婦
そんなリリーを救ったのは、敵対していたムクドリだった
執拗にリリーを攻撃してきたムクドリ
それは巣にいる我が子を守るためだったのだ
ムクドリは夫婦で我が子を育てる
過酷な世界に夫婦で立ち向かっているのだ
それなら自分たちだって出来るはずだ
再び手を取り合うリリーとジャック
静かだが前向きな気持ちになれるラストだった
まとめ
物語にあまり起伏がなく、気が滅入るシーンが多かった
しかし、ラストは感動
キャストは皆が好演
娯楽性は薄いが、心に残る作品だ
Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/the_starling
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/378624
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