Netflix「ベルベット・バズソー 血塗られたギャラリー」感想 呪われた絵の価値はいくら?

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ジェイク・ギレンホール、レネ・ルッソ、ダン・ギルロイ監督と傑作「ナイトクローラー」のメンバーが再びタッグを組んだ
現代アート業界を舞台にした意欲的なホラーである
ただ普通のホラーを期待して見ると、困惑するかも知れない
ここで描かれるのは芸術を金儲けの道具としか思っていない人間たち
そんな彼らが呪われた絵によって次々と死んでいくのを笑って見る映画だ
くれぐれも恐怖シーンを期待してはいけない
それさえ分かれば、アート業界を舞台にしたブラックなコメディとして、楽しんで見ることが出来るだろう


予告編

『ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー』予告編 – Netflix [HD]

作品情報
作品名「ベルベット・バズソー 血塗られたギャラリー」(原題Velvet Buzzsaw)
監督:ダン・ギルロイ
キャスト:ジェイク・ギレンホール、レネ・ルッソ、ザウエ・アシュトン、トニ・コレット、ジョン・マルコビッチ
上映時間:112分
製作国:アメリカ(2019年)

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ざっくりあらすじ

亡くなった無名の画家。発見された彼の作品は不気味だが素晴らしいものばかりだった。アート業界ではいちやく話題となるが………………

感想(ここからネタバレ)

「ナイトクローラー」のダン・ギルロイ監督がまさかホラーに挑戦とは
まあ、「ナイトクローラー」もある意味ホラーみたいなものか(笑)

残された絵

ロサンゼルスのアート業界
そこはいかに絵を高く売るかしか頭にない画商たちの欲望にまみれた場所だった

やり手の女画商ヘイズの下で助手として働くジョセフィーナ
彼女はこの業界でのし上がることを夢見る野心家だった
ある日、ジョセフィーナは同じアパートで、独り暮らしの老人が亡くなっているのを発見する
そのヴェトリル・ディースという名の老人は無名の画家だった
ジョセフィーナは彼の部屋から未発表の膨大な数の絵を発見する
それは不気味だが迫力があり、人々を魅了するパワーに満ちていた
アパートの管理人はその絵を全て処分するように、ディースから頼まれていたという
ジョセフィーナは欲に目がくらみ、それらの絵を盗み出す


評論家のモーフとヘイズもディースの絵に魅了される
それらの絵を世間に発表すると、瞬く間に話題となり、高値で飛ぶように売れた
誰もがディースの絵に夢中になった
だが、モーフが謎の画家ヴェトリル・ディースの素性を探っていくと、恐ろしい事実が明るみになる
そして、彼の絵画を巡って不可解な出来事が次々と起こっていった………………

登場人物

モーフ・ヴァンデウォルト
有名な美術評論家
彼の批評次第で芸術作品の価格が上下する
ジョセフィーナに気がある
演じるのはジェイク・ギレンホール

代表作

「ライフ」
謎の地球外生命体と宇宙船のクルーとの死闘を描く
SFスリラーの傑作
ジェイク・ギレンホールは珍しく(?)まともな性格のキャラを演じる

ロードラ・ヘイズ
やり手の画商
以前はベルベット・バズソーという名のパンク・バンドをやっていた
演じるのはレネ・ルッソ
監督のダン・ギルロイは夫

ジョセフィーナ
ヘイズの助手
野心家
ディースの絵を発見し、自分のものにしようとする
演じるのはゾウイ・アシュトン

ピアース
高名な抽象画家
ヘイズと組んでいたが袂を分かつ
スランプに悩んでいる
演じるのはジョン・マルコビッチ

監督

ダン・ギルロイ
「ナイトクローラー」で一躍脚光を浴びる
「ボーン・レガシー」などの脚本も手掛ける

代表作

「ナイトクローラー」
刺激的な映像を求めて報道パパラッチが暴走していく様を描いた過激なエンターテイメント
ジェイク・ギレンホールの怪演が凄い
その欲望に忠実な姿はいっそ清々しかった

アート業界

ロサンゼルスのアート業界
この「ベルベット・バズソー 血塗られたギャラリー」ではその業界の裏側が赤裸々に描かれる
華々しい芸術の世界
だが、そこでは芸術を食い物にしている連中が跋扈している

芸術の価値をつねに金で換算する画商
批評を金で売り買いする評論家
売り込みに必死なアーティスト

この作品ではロクな人間が出てこない
さすが「ナイトクローラー」のダン・ギルロイ作品である
皆が自己の欲望に忠実で、他人を思いやる気持ちなど微塵もない
芸術をとしか思っていない連中
ホラー要素だけでなく、現代のアート事情の一端が垣間見えるのが興味深い

呪われた絵

この作品では様々な芸術作品が出てきて、目を楽しませてくれる
中には何が凄いのか理解できない作品も

そして、この作品の焦点となるヴェトリル・ディースという画家が残した絵の数々
不気味で迫力があり、素晴らしい効果を生み出している
ダン・ギルロイ監督は専門家チームとかなりの長い時間を、劇中に登場する絵画など芸術作品の製作にあてがった

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ホラー要素

この作品はホラーとしてはあまり怖くない
登場人物たちが超自然の力で次々と死んでいくが、見ようによっては皆が滑稽な死に方をしている
何故ならこの作品がホラーというよりは、むしろ風刺劇としての側面の方が強いからである

「あの絵は呪われているんだぞ!!」
「でも1000万の絵なのよ」

芸術を金儲けの道具としか見ていない連中
そんなロクデナシたちが芸術に逆襲され死んでいく
ブラックユーモアであり、因果応報の物語である
観客はそれを愉快に見ていればいい

エンディング

ヴェトリル・ディースの絵に関わった者はほとんどが死んでいく
しかし、例外もいる

ジョン・マルコビッチ演じる芸術家のピアース
彼はスランプに陥っていた
そんなピアースがエンディングでは、砂浜に木の棒で自由に絵を描いている
波ですぐに消えてしまう金にならない絵である
けれど、ピアースは楽しそうだ
死んだのが芸術を食い物にしていた連中だと考えると、ピアースが生き残ったのも分かる気がする

Netflix

ダン・ギルロイ監督はこの作品を製作する時、様々なスタジオと交渉したが、どこも必要十分な製作費を提示してくれなかった
満足いく予算を示してくれたのはNetflixだけだったそうだ

監督は語る
「今、映画館で上映される作品のほとんどは、人気フランチャイズで占められています。一風変わったユニークな作品を作っても、劇場には居場所がありません。Netflixが最善の選択でした。出来るならまた彼らと一緒に仕事がしたいです」

「ベルベット・バズソー」で芸術を金でしか評価しない連中が悲惨な最期を遂げるのは、予算集めに苦労した監督の恨みが込められているのかも………………(笑)

まとめ

一風変わった意欲的なホラーである
普通のホラーを期待しなければ、なかなか楽しめる
様々なアートが登場して目の保養にもなる
このブラックなノリが理解できる人なら気に入るはずだ


Velvet Buzzsaw (2019) on IMDb


rotten tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/velvet_buzzsaw
allcinema
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=367037

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