Netflix「西部戦線異状なし」ネタバレ感想 これが戦場のリアル!!

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Netflixオリジナルのドイツ映画
第一次世界大戦時のドイツ、17歳のパウルは仲間たちと兵士に志願し、意気揚々と戦場へ向かうが…………

リアルで壮絶な戦場の描写と戦争の非人間性
アカデミー賞クラスの大作

1930年の名作「西部戦線異状なし」をドイツで再映画化
見事にアップデートされたリアルな戦争映画となっている
見終わった後、思わず放心状態になった
第一次世界大戦を一兵士の視点から描く
戦闘シーンが凄まじい臨場感
まるで自分も戦場にいるような気分になった
虫けらのように散っていく仲間たち
累々たる死体の山
戦場の現実をとことん描きつくしている
この映画を見て、戦争に行きたいと思う人間はいないだろう
現実の戦争についても深く考えさせられる
多くの人が見ておくべき一作

予告編

All Quiet on the Western Front | Official Teaser | Netflix

作品情報
作品名「西部戦線異状なし」(原題Im Westen nichts Neues)
監督:エドワード・ベルガー
キャスト:フェリックス・カマラー、アルブレヒト・シュッフ、アーロン・ヒルマー、モーリツ・クラウス、エディン・ハサノヴィッチ、チボー・ドゥ・モンタランベール、ダニエル・ブリュール
上映時間:147分
製作国:ドイツ(2022年)

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ざっくりあらすじ

第一次世界大戦時のドイツ、17歳のパウルは仲間たちと兵士に志願し、意気揚々と戦場へ向かうが…………

感想(ここからネタバレ)

もうアカデミー賞はこの作品でいいんじゃないかな…………

志願

1917年のドイツ
第一次世界大戦は3年目に突入していた
パウル・ボイメルは級友であるフランツ、アルベルト、ルードヴィッヒと、兵士に志願した
国の名誉は自分たちにかかっている
4人はまだ17歳だったが、高揚し意気盛んだった

パウルたちはさっそく前線に送られ、歩兵小隊に配属された
塹壕は爆音と硝煙に満ちていた
兵士たちは皆、憔悴しきっている
フランス軍の砲撃を避けるため、パウルたちは塹壕の穴倉に隠れて、息を潜めた

「もう家に帰りたい…………」

ルードヴィッヒが泣きそうな声で言った

砲撃が真上を直撃して、天井が崩れてきた
兵士たちは必死に穴倉から逃げた
ようやく攻撃が止み、パウルは身を起こした
塹壕の中は死体だらけだった

死んだ兵士から認識票を集めるように言われた
パウルは兵士1人1人の生死を確認し、認識票を集めた
泥の中にルードヴィッヒが横たわっていた
もう息がない
パウルの口から嗚咽がこぼれた

18ヵ月が経った
ドイツは敗色が濃厚だった
パウルは何とか生きながらえていたが…………

作品解説

原作は1929年のエリッヒ・マリア・レマルクによる自身の体験を基にした戦争小説
アドルフ・ヒトラーが出現する前に、ドイツでこのような反戦的な小説が書かれていたとは驚きである

監督は「ぼくらの家路」のエドワード・ベルガー

Netflixが手がけたドイツ映画としては、もっとも製作費が高額なものとなった

パウル・ボイメル

17歳の少年
親に黙って級友たちと兵士に志願した
祖国のために戦うと強い志を持っていたパウル
しかし、実際に目にした戦場は地獄そのもので…………

本作は一兵士であるパウルの視点で描かれる
希望に満ちていた目が、憔悴しきっていくさまがリアルだった
演じるのはフェリックス・カマラー

仲間たち

明るいムードメーカーのアルベルト
異性に興味津々のフランツ
もっとも勉強ができるルードヴィッヒ

パウルの級友たち
軍に共に志願する
しかし、戦場は過酷で残酷だった
仲間は1人、また1人と倒れていく
アルベルトが敵兵に火炎放射器で焼かれるシーンは衝撃

「西部戦線異状なし(1930年)」

原作小説を基にアメリカで作られた最初の映画
監督はルイス・マイルストン
第3回アカデミー賞最優秀作品賞と最優秀監督賞を受賞した名作
設定ではドイツだが、アメリカ人が英語で演じた

過去の名作を新たにリメイク
本当はあまり好きではない
その作品がアカデミー賞まで取っているとなれば尚更だ

とはいえオリジナルは90年以上前の作品
さすがに古さは否めない
最新の技術で作り直すことは価値がある
何より本来の舞台であるドイツで作られたことが大きい
本作は非常に意義のあるリメイク作品といえるだろう

ちなみに本作はリメイクというよりも、原作小説の再映画化という位置づけのようだ

戦争映画

「1917 命をかけた伝令」「プライベート・ライアン」「フルメタル・ジャケット」
戦争映画の名作はいくつもある
本作「西部戦線異状なし」に近いと思えるのはこの作品

「プラトーン」
1986年のオリバー・ストーン監督の傑作
ベトナム戦争の実態をリアルに描き、アカデミー賞で作品賞や監督賞に輝いた
一兵士の視点で戦争を描いている点が共通している

また本作のその後、第一次世界大戦後のドイツを描いた作品に、Netflix映画「ミュンヘン:戦火燃ゆる前に」があり、こちらも良作

Netflixオリジナルのイギリス映画 戦争の危機が迫る1938年、大学時代の親友2人はミュンヘン会談で再会するが………… 地味で静...

冒頭

冒頭、物語は戦場の最前線で幕を開ける
ハインリッヒという若い兵士が塹壕の中で震えている
上官の突撃という声で、ハインリッヒは塹壕を飛び出していく

死体の山
その中にハインリッヒの死体もある
兵士たちは戦死者から制服を剥いでいく
その大量の軍服はドイツに運ばれ、クリーニングされて綺麗に整えられる

兵士に志願したパウルに、ハインリッヒの制服が渡される
パウルはそれが戦死者のものだとは知りもせず、満面の笑みで受け取る
戦争の無慈悲さを的確に描いた印象深いシーンである

リアルな戦場

本作ではかなりリアルな描写がなされている

塹壕にたまった泥水をヘルメットでかき出す
戦場から離れると時間が有り余り、仲間たちと無駄話にふける
敵の前線に突入し、戦闘そっちのけで見つけた敵の食料を隠れ食う

また、いくつかある戦闘シーンはどれも壮絶
戦闘というより、もはや虐殺
さっきまで喋っていた仲間がすぐ横で死んでも、悲しむ余裕もない
敵の戦車が出現する場面など、ホラー映画より怖かった

人を殺すことが当たり前の戦場
感覚が麻痺し、人間性を失っていくパウル
つくづく戦争の無意味さ、愚かさを思い知らされる

ラストシーン

その日、珍しく戦場は静かだった
どこからか蝶が飛んでくる
パウルは思わず塹壕から手を伸ばす
その瞬間、敵の狙撃兵がパウルの命を絶つ
パウルの死んだその日、司令部の報告は「西部戦線異状なし…………」だった

1930年版の「西部戦線異状なし」のラストシーンは非常に有名で、強く印象に残るものだった
だが、この2022年版はラストを大きく変えている

休戦が決まり、パウルら兵士たちは家に帰れると喜ぶ
ところが敗北に不満な将軍は、休戦前の最後の総攻撃を命じる
不平を訴える兵士は銃殺された
パウルは再び戦場に立たされる…………

安全なところにいる無能な上官の理不尽な命令
見ていて、怒りではらわたが煮えくり返りそうだった
そして、休戦が告げられる直前のパウルの死
1930年版の方が原作のラストに近いようだが、こちらはこちらで戦争の馬鹿馬鹿しさを強烈に感じさせるラストとなっている

まとめ

戦争の愚かさを十分に伝える一作
それだけではなく映像体験としても極上の出来
本当に戦場にいるような気分を味わえる
今、リメイクされることに意義がある
そう感じさせる傑作だ

All Quiet on the Western Front (2022) on IMDb

Rotten Tomatoes
https://www.rottentomatoes.com/m/all_quiet_on_the_western_front_2022
allcinema
https://www.allcinema.net/cinema/384931

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